2つの技術、1本の針
スマホでナビアプリを開くと、自信たっぷりに方位が表示されます。しかしその矢印は、まったく異なる2つのセンサーのどちらかから来ています。どちらが動いているかを知っているかどうかは、人里離れた山中でスマホを信頼できるか、それとも街のブロックの真ん中で静かに誤った方向へ導かれるかの分かれ目になります。
磁力計の仕組み
スマホには極小の磁力計、つまり周囲の磁場の強さと方向を測るデジタルコンパスチップが入っています。地球の磁場を読み取り、それを方位角に変換します。ここで重要な言葉は読み取るという点です。磁力計は受動的なセンサーで、立ち止まっていても、岩に腰かけていても、どんな速度で動いていても機能します。GPS信号も、携帯電波も、インターネット接続も必要ありません。
その代償が敏感さです。磁場はどこにでもあり、そのすべてが地球由来とは限りません。車のダッシュボード、橋の鋼材、鍵でいっぱいのポケット、近くのスピーカー、さらにはマグネット留め具付きのスマホケースまで、こうしたものが磁力計の値を数十度も狂わせることがあります。磁力計は地球の磁場だけでなく、その場の合計磁場を測っているのです。局所的な干渉が強いと、コンパスの方位は当てにならなくなります。
NorthPin True North Compassのようなアプリは、方位角の横にµT(マイクロテスラ)の実測値を表示することで、この問題に真正面から取り組んでいます。屋外での一般的な値はおよそ40〜60 µTです。値が100 µT以上へ跳ね上がっているなら、近くに磁気を帯びた何かがあり、コンパスをゆがめています。それが干渉検出機能の役割です。方位を信じる前に発生源から離れるための情報を与えてくれます。
GPS方位の仕組み
GPSの方位計算はまったく別物です。磁場はいっさい測りません。代わりに、連続した測位結果を比較して進行方向を求めます。3秒前に地点Aにいて、今は地点Bにいるなら、あなたはA→Bの方向へ進んでいるはずだ、という理屈です。
この方式には絶対条件があります。動いていなければならないのです。立ち止まっているとき、位置が変化しないためGPSチップはあなたがどちらを向いているかを答えられません。多くのナビアプリでは、GPS方位が信頼できるようになるのに時速5キロ(3マイル)程度以上の速度が必要です。それを下回ると測位点が近づきすぎ、測定ノイズが方向の信号をかき消してしまいます。
GPS方位の利点は、局所的な磁気干渉の影響を受けないことです。金属製の建物も、車両も、磁気を帯びたアクセサリーも、GPSから導かれた進行方向にはまったく影響しません。高速道路や一定速度で進む直線的なトレイルでは、GPS方位は磁力計より安定して正確なことがよくあります。
静かな切り替え — 方位が突然飛ぶ理由
ここからがややこしいところです。ほとんどのナビアプリは、センサーフュージョンのアルゴリズムで2つの情報源を自動的に混ぜ合わせています。速度が出ている間はGPS方位を重く扱い、速度が落ちたり止まったりすると磁力計へ戻します。この切り替えはたいてい目に見えません。今どちらのセンサーが針を動かしているのかを示す表示は、どこにもないのです。
その結果こうなります。立体駐車場をゆっくり歩いていると、GPS方位が消え、磁力計が鉄筋コンクリートの天井による干渉を拾い、方位が60度飛ぶ。アプリが壊れたわけではありません。最悪の環境の、最悪のタイミングで情報源を切り替えただけなのです。
この扱いが上手なアプリもあれば、そうでないアプリもあります。磁力計をはっきり主軸に据え、その品質を判断する手段を用意している専用コンパスアプリのほうが、黙ってセンサーを行き来する汎用ナビアプリより挙動が読めます。
実際の場面
登山口で立ち止まっているとき
立ち止まって紙の地図を広げ、地形に合わせて向きをそろえようとしている場面です。ここではGPS方位は役に立ちません。必要なのは磁力計です。車から離れ、スマホを水平に持ち、NorthPinのµT値を確認しましょう。通常の範囲内なら方位は信頼できます。そうでなければ、車両や金属構造物から10メートルほど離れてもう一度確認してください。
車での運転中のナビ
高速道路の速度域では、GPS方位は非常に優秀で、磁力計はほぼ無関係です。ナビアプリは自然とGPSを優先しますし、それが正解です。運転中にコンパスのおかしな挙動に気づくのは、多層立体駐車場の中や、大きな鋼鉄の橋の近くくらいでしょう。
キャンプと道なきルートでのナビゲーション
コンパスの品質が最も問われるのがこの場面です。ゆっくり進んだり、位置を確認するために頻繁に止まったり、ルートを考えながら立ち止まったりします。GPS方位は出たり消えたりするでしょう。磁力計が主役です。どんな方位でも頼りにする前に、NorthPinが手順を案内してくれる8の字キャリブレーションを行ってください。チップ内部の補正値を作り直し、蓄積したソフトアイアン誤差を取り除いてくれます。山行の最初に一度やっておけば、その日の測定値は一日中安定します。
どちらを信じるべきか
どちらのセンサーも常に優れているわけではなく、それぞれ得意な場面が違います。目安はこうです。歩行速度以上で動いていて、金属から十分離れているなら、GPSと磁力計の値は数度以内で一致するはずです。大きく食い違うなら何かがおかしい。GPSが信頼できる方位を計算するには遅すぎるか、磁力計が局所的な干渉を拾っているかのどちらかです。
最良の方法は、細部を隠さないコンパスアプリを使うことです。NorthPinはµTの磁場強度をリアルタイムで示し、0〜360度の生の方位角を表示し、真北モードの切り替えも可能です。磁北を基準にした地形図を読むときも、地理的な北で進むときも、常に同じ基準で作業できます。無料で、完全オフラインで動作し、広告もありません。スマホが実際に何を測っているのかを理解することが、フィールドでそれを信頼する第一歩です。
NorthPinはiOS版・Android版とも無料でダウンロードできます — 広告なし、追跡なし、完全オフラインで動作します。