コンパスアプリを開くと、画面の隅に小さな数値が表示されています。48 µT。これは何を意味するのでしょうか。良い値なのか、悪い値なのか、気にすべきなのか。結論から言えば、気にすべきです。この数値は、コンパスが示す方位を信用できるのか、それともまったく間違っているのかを教えてくれるからです。

磁場とは何か

地球は、外核にある溶けた鉄の動きによって磁場を生み出しています。この磁場は地球内部から宇宙空間まで広がっており、コンパスが機能するのはこの磁場のおかげです。磁場には向き(コンパスが北を見つけるために使うもの)と強さ(マイクロテスラで測る値)の両方があります。

風にたとえると分かりやすいでしょう。風には向き(西から)と速さ(時速20 km)があります。磁場にも向き(磁北の方向)と強さ(µT で表す値)があります。コンパスは向きを読み取り、µT の表示は強さを読み取っています。

µT とは何の略か

µTマイクロテスラの略で、1テスラの100万分の1です。テスラ(T)は磁束密度の SI 単位で、物理学者ニコラ・テスラにちなんで名付けられました。地球の磁場は、たとえば MRI 装置と比べるとかなり弱いため、テスラ単位ではなくマイクロテスラ単位で測ります。

  • 地球の磁場:25〜65 µT(場所によって異なる)
  • 冷蔵庫用マグネット:約5,000 µT(5 mT)
  • MRI 装置:1,500,000〜3,000,000 µT(1.5〜3 T)
  • ネオジム磁石:最大1,400,000 µT(1.4 T)

スマートフォンの磁力計は、非常に弱い地球の磁場を検出するように設計されています。それより強いものが近づくと、センサーは飽和してしまいます。

正常な値と異常な値

µT の範囲意味コンパスの信頼性
25〜65 µT正常な地磁気信頼できる — 方位を信用してよい
65〜100 µT軽度の干渉あり使えるが、目印で確認すること
100〜200 µT大きな干渉あり信頼できない — 干渉の少ない場所へ移動を
200 µT 以上近くに強い磁気源があるコンパスをまったく信用してはいけない

地磁気の強さは場所によって自然に変わります。赤道付近では弱く(およそ25〜40 µT)、極付近では強くなります(50〜65 µT)。それでも地表のどこでも25〜65 µT の範囲に収まります。この範囲を大きく超える値が出たら、地球以外の何かがセンサーに影響しているということです。

µT が高くなる原因は何か

コンパスアプリが異常に高い µT 値を示すとき、近くにある何かが磁場を発生させているか、ゆがめています。よくある原因は次のとおりです。

永久磁石

  • スマホケースの磁石 — MagSafe ケース、マグネット式のフラップ、車載ホルダー用の金属プレートには、磁力計のすぐ隣に磁石が入っています。これがコンパスの誤差を生む最も多い原因です。
  • ノートパソコンのスピーカー — ネオジム磁石を内蔵しており、局所的に強い磁場を発生させます。
  • バッグやリュックの留め具 — マグネット式の留め具は、至近距離で500 µT を超えることがあります。

電子機器

  • ノートパソコンやタブレット — スピーカーのほか、バッテリーや電源回路も磁場を作ります。
  • ほかのスマートフォン — すぐ隣にもう1台あるだけで測定値が変わります。
  • ワイヤレス充電器 — 電磁コイルを使うため、かなりの磁場が発生します。

金属と建築物

  • 金属製のテーブルやデスク — 強磁性の金属(鉄、鋼、ニッケル)は、磁化されていなくても周囲の磁場をゆがめます。
  • 鉄骨造の建物 — コンクリートの壁や床に入った鉄筋が、屋内での測定値に影響します。
  • 乗り物 — 自動車、バス、電車は磁石と電子機器が詰まった金属の箱です。車内でのコンパスの値はほぼ必ずゆがみます。
  • 手すり、配管、金属構造物 — 橋の欄干、金属フェンス、地中の配管など。

実例:現実世界の µT

環境が測定値にどれほど影響するか、次の場面で見てみましょう。

木製テーブルに置いた場合

電子機器から離れた部屋の中央で、木のテーブルにスマートフォンを置きます。表示は47 µT。コンパスは安定して北を指します。これはきれいな測定値で、信用できます。

金属製デスクに置いた場合

同じ端末をスチール製のオフィスデスクに置きます。値は120 µTまで跳ね上がります。方位は30度ずれます。デスクの強磁性材料が周囲の磁場をゆがめているのです。コンパスは正常に動いているように見えても、方位は間違っています

ノートパソコンの隣に置いた場合

ノートパソコンのスピーカーグリルから10 cm の位置に端末を置きます。値は180 µTまで急上昇し、方位は激しく振れます。50 cm 離すと60 µT に下がり、1 メートル離せば正常に戻ります。

車内に置いた場合

運転席に座り、ダッシュボードに端末を置きます。車種にもよりますが値は95〜150 µT。コンパスは安定して見えても、実際の方位から10〜45度ずれています。車内では、精密なナビゲーションにスマートフォンのコンパスを決して使わないでください。

屋外の開けた場所での場合

公園や野原に立ち、胸の高さで端末を持ち、近くに金属はありません。値は49 µT。コンパスは正確です。これがコンパスを使う理想的な条件です。

NorthPin は µT をどう活用して知らせるか

NorthPin True North Compass は µT の値を隠しません。不可欠な情報として、画面の目立つ場所に表示します。

  • リアルタイムの µT 表示 — 現在の磁場の強さが常に画面に出ています。別のメニューを開いたり、設定を有効にしたりする必要はありません。
  • 干渉の警告 — µT の値が正常範囲を超えると、NorthPin は方位が信頼できない可能性を明確に警告します。誤った値を信じてしまうことを防ぎます。
  • 行動につながる情報 — 誤った方位を黙って表示する多くのコンパスアプリと違い、NorthPin は方位がずれている可能性の理由を伝え、暗に別の場所へ移動するよう促します。

これは、間違った方向へ自信満々に歩き続けることと、矢印を信じる前に場所を変えるべきだと分かっていることの違いです。

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コンパスの値を信用してよいのはどんなときか

  • µT が25〜65:信用してかまいません。地磁気をきれいに読み取れています。
  • µT が65〜100:おおまかな方角なら問題ないでしょうが、精度が必要なら目印で確認してください。
  • µT が100以上:方位を信用しないでください。干渉源から離れて測り直しましょう。
  • 針が回り続けたり跳ねたりする:強い干渉か、センサーの未校正です。8の字を描いて再校正し、干渉の少ない場所へ移動してください。

よくある質問

使っているコンパスアプリに µT が表示されないのはなぜですか?

多くの基本的なコンパスアプリは、精度よりもシンプルさを優先しているため、磁場の強さを表示しません。残念ながらそれでは、方位が信頼できるかどうかを判断する手段がありません。NorthPin のようなアプリが µT 表示を備えているのは、コンパスに本当に頼る人にとって決定的に重要な情報だからです。

µT の値が高いのは常に悪いことですか?

コンパスの精度という点では、そのとおりです。正常な25〜65 µT の範囲を超えていれば干渉があり、方位がずれている可能性があります。µT の数値そのものが人体に危険なわけではありませんが(地磁気は無害です)、コンパスの測定が損なわれていることを示しています。

µT の表示を金属探知機として使えますか?

ごく基本的な意味では使えます。金属の物体にスマートフォンを近づけて µT の値が急上昇すれば、その金属が引き起こす磁気のゆがみを検出したことになります。Compass Steel 3D のように、この原理を使った専用の金属探知モードを備えたコンパスアプリもあります。

µT の値は天気で変わりますか?

変わりません。天気がスマートフォンで検出できるほど地磁気に影響することはありません。極端な温度は磁力計のハードウェア自体にわずかな影響を与えることがありますが、µT の値は圧倒的に周囲の磁気環境によって決まり、大気の状態では決まりません。

まとめ

コンパスアプリの µT の値は、スマートフォン周辺の磁場がきれいか(25〜65 µT)、それとも干渉で汚れているか(100 µT 以上)を教えてくれます。この数値を確認していなければ、コンパスの方位が正しいのか間違っているのかを知る術はありません。NorthPin True North Compass は µT の値をリアルタイムで表示し、干渉があれば警告することでそれを簡単にします。矢印を信じてよいときと、場所を移るべきときが常に分かるのです。

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